生理前や生理中に、ひどい眠気におそわれることはありませんか?仕事や勉強が手につかず困ったり、なかなか他の人には理解してもらえず悩んだりしている女性はたくさんいます。この記事では、生理前や生理中に眠たくなる原因や、眠気への対処法を紹介します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
生理前の眠気の原因
ホルモンの変化
生理前は女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、身体的な症状(不調)や精神的な変化を感じる方が多くいます。例えば、胸が張る、腰痛がする、イライラする、悲しくなるなどです。
このような生理前の症状を「PMS(月経前症候群)」と呼びます。そして、「眠気」もPMSの症状の一つです。
体温の上昇も眠気につながる
生理前に増える女性ホルモン(黄体ホルモン)には、体温を高める作用もあります。ですから、生理前は軽いほてりを感じることがあり、そのせいで日中は眠気を感じやすくなります。
また、夜は体温が緩やかに下がることで眠気が起こるのですが、生理前は体温が高めなので眠りに就きにくくなります。そうして夜は睡眠不足になり、日中は眠気におそわれるのです。
このような生理前のホルモン変化からくる眠気は、生理がはじまってからの数日間も続くことがあります。
生理中の眠気の原因
貧血によって眠気を感じる
生理中は体内の血液を失い鉄分が不足するため、「鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)」と呼ばれる貧血になりやすいです。
貧血になると脳の活動が低下し、身体のだるさ、そして眠気などを感じるようになります。
生理中の不調やストレス
生理中は腹痛をはじめ、様々な体の不調があらわれることがあります。また、生理によってストレスを感じる方も少なくないでしょう。
このような不調やストレスによって、なかなか夜は寝付けなかったり、睡眠が浅くて夜中に目が覚めたりして睡眠不足になることがあります。そのため、日中に眠気を感じてしまうことがあります。
生理前や生理中の眠気への対処法
低用量ピルの服用
ピルと聞くと「避妊薬」のイメージが強いかもしれませんが、実は生理に関する様々なトラブルを防ぐ効果があります。そして、PMSの症状緩和や貧血の防止も期待できる効果のひとつです。
もし、毎月のように生理前や生理中の眠気、またその他の症状で悩んでいるのであれば、ピルの服用を考えてみましょう。
ピルは婦人科で処方してもらえるので、気になる方は「ピル処方 + お住まいの地域名」で検索してみましょう。
もしピルについて気になることや不安なことがあれば、生理管理アプリのケアミーを使ってみてください。
産婦人科医監修アプリのケアミーには「相談チャット」という無料でチャット相談ができる機能があります。チャットで相談すると産婦人科医や生理や妊娠に詳しいスタッフが丁寧に返信をしてくれます。匿名で相談できるので、プライバシーの面でも安心です。
貧血対策のために鉄分をとる
特に生理中に眠気を感じる方は、貧血対策となる食事を意識しましょう。貧血を防ぐには、鉄分やタンパク質、ビタミンCを十分に摂取できる食事が効果的です。
鉄分は豚や鶏、牛のレバーやイワシやカツオなどに多く含まれています。また、鉄分は身体に吸収されにくい成分なので、鉄分の吸収を助けるビタミンCを多く含む野菜や果物を一緒に食べると良いでしょう。
もし、なかなか普段の食事だけでは鉄分などの摂取が不十分であれば、鉄分のサプリメントを飲んで対策しましょう。
また、鉄分の吸収を妨げる食べ物もあるので注意しましょう。まず、玄米や納豆は過剰に食べることで鉄分の吸収率を下げてしまうため、貧血気味だと思う方は適度な摂取を心がけたほうがいいでしょう。
また、コーヒーや紅茶、烏龍茶に含まれているタンニンという成分も鉄分の吸収率を下げるため、飲み過ぎには気をつけてください。
眠気防止に効果的な8つの生活習慣
では最後に、低用量ピルの服用や鉄分摂取以外にも、生理前や生理中の眠気の防止に効果的な8つの生活習慣を紹介します。
(1)日光を浴びて生活リズムを整える
朝、目覚めたら日光を浴びましょう。夜の寝つきが悪かったり睡眠が浅いと、昼夜の生活リズムが狂いがちです。
日中を元気に過ごし、夜には眠たくなるという自然なサイクルを取り戻すためには、昼夜のメリハリをしっかりと体に覚えさせる必要があります。目覚めたらカーテンをあけて、太陽にあたるようにしましょう。
(2)睡眠環境を整える
寝つきが悪い生理前や生理中は、スムーズに就寝できるようにリラックス効果のあるアロマを使ってみたり、部屋に間接照明を置いて、うす暗い部屋で深呼吸をしながらストレッチしたりするのもオススメです。
また、癒し効果のある音楽を流すのもよいでしょう。「睡眠 音楽 アプリ」のと検索すれば無料のアプリがいくつか出てきます。
(3)就寝前の30分はスマホやパソコンを見ないようにする
夜になると睡眠を促すための「メラトニン」という物質が分泌されます。しかし、寝る直前までスマホやパソコンの画面を見ていると、明るいライトの影響でメラトニンが分泌されにくくなってしまいます。それによって、寝つきが悪かったり、日中に眠気を感じたりしてしまいます。
就寝の30分前ぐらいからはスマホやパソコン、テレビなどを見ないように気をつけ、頭や目を休ませましょう。
(4)ゆっくり入浴する
シャワーではなく湯船にゆっくり使ってカラダを温めると、入浴後の湯冷めで眠気が促されます。寝つきが悪いと思うのであれば、半身浴などでゆっくり体を温めるように入浴しましょう。夜の睡眠不足が解消されれば、日中の眠気がましになるかもしれません。
(5)15分程度の仮眠を取る
昼間にどうしても眠いときは仮眠を取るのは効果的です。ただし、仮眠時間はスッキリ起きられるように15分程度にしましょう。30分以上寝ると深い眠りについてしまうため、目覚めが悪くなります。
(6)覚醒効果のあるアロマを嗅ぐ
アロマにはリラックス効果をもたらして睡眠しやすくなるものもあれば、一方で眠気覚ましに効果的なものもあります。ペパーミントやレモン、ローズマリーのアロマがオススメです。
(7)炭水化物から食べないようにする
ランチを食べた後は強烈な眠気に襲われる方も少なくありません。食事で気をつけたいのは「炭水化物から食べないようにする」ことです。
ランチで丼ものやパスタ、カレーなどの炭水化物をいきなり食べると、血糖値が急激に高まり、そして急降下する血糖値のアップダウンが起こります。これが原因で、急激な眠気に襲われるのです。
ランチの際はなるべく炭水化物を減らし、また食事の順序も「サラダなどの野菜」→「肉類などのメイン」→「ご飯などの炭水化物」の順で食べるようにしましょう。そうすることで、血糖値の急激なアップダウンを抑える効果が期待できます。
(8)カフェインやアルコールの摂取に注意する
夕方以降のカフェイン摂取(コーヒー等)、多量のアルコール摂取は控えるようにしましょう。どちらも睡眠の質を下げてしまい、翌日は日中に眠気を感じやすくなってしまいます。
以上、この記事では生理前や生理中の眠気の原因、そして対処法を説明しました。約4割の女性は生理に関連して睡眠に変化を感じていると言われています(*3)。毎月のように眠気におそわれると、学校や職場での日常生活に支障が出て困りますよね。少しでも眠気を解消できるように、この記事で紹介した対処法を試したり、生活習慣を工夫してみてください。