思春期はまだ女性ホルモンの分泌が安定していないため、高校生や中学生は生理不順で悩むことが多いです。心配しなくても大丈夫なケースもあれば、なかには婦人科に相談した方が良いケースもあります。この記事では、生理不順の原因や病院に行く目安、そして生理不順への対処法を紹介します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
思春期の生理不順の原因
生理の仕組み
そもそも、生理(月経)はどのような仕組みで起こっているのでしょうか。生理の仕組みを理解するためにカギとなるのは「女性ホルモン」と「子宮内膜」です。
女性のカラダは妊娠に備えて、毎月のように排卵(卵巣から卵子が飛びだすこと)が起こったり、子宮の内側の膜(子宮内膜)が厚く成熟したりします。
そして、排卵が起こったあとに妊娠しなかった場合は、子宮内膜の一部がはがれ落ちて血液の状態になり、腟から出てきます。これが生理(月経)の仕組みです。
このような生理の仕組みには「女性ホルモン」の働きが関係しています。
思春期は女性ホルモンが不安定
中学生や高校生など、思春期の生理不順の多くは「女性ホルモンが不安定」であることが原因です。
女性ホルモンが適切なバランスで分泌されることで「生理のサイクル」は回っていて、およそ1ヶ月の一度のペースで生理はきます。
しかし、中学生や高校生などの思春期はホルモンバランスが不安定なことが多く、生理のサイクルが乱れる、つまり生理不順になることがよくあります。
ダイエットやストレスも生理不順の原因
中学生や高校生になるとスタイルが気になり、ダイエットをする人も多いかもしれません。しかし、ダイエットによって栄養不足になったり、急激に体重が落ちたりすると、生理不順につながります。
思春期は健康な身体を作る大切な時期ですし、栄養が偏るような無理なダイエットは控えるようにしましょう。
また、日常生活における人間関係や環境の変化によるストレスも生理不順につながります。
以下のようなことが原因でストレスを感じ、それがきっかけで生理不順になることがあります。
・学校でクラス替えがあった
・テスト勉強で夜更かしを続けた
・友人関係や恋愛で悩んだ
生理不順になったときは、日常生活に変化がなかったか振り返ってみましょう。
では、次は具体的に生理不順のパターンや病院へ行く目安などを紹介します。
生理予定日からずれるとき
生理予定日から数日ずれるのは大丈夫
医学的には、「生理予定日からのずれが6日以内であれば正常」とされています(*1)。
生理予定日から3日程度遅れるだけでも不安になるかもしれませんが、ちょっとした私生活の変化の影響で、生理のサイクルが短くなったり、長くなったりするのはよくあることです。
たまに生理予定日からずれる(6日以内)という場合は心配ありません。
また、思春期は女性ホルモンが不安定なせいで、7日以上ずれることも珍しくありません。たまに生理が早くきたり、遅れてきたりしても、あまり心配しなくても大丈夫でしょう。
ただし、毎回のように生理予定日から大きくずれ、スケジュールの調整ができなかったり、ナプキンの用意ができないと困ってしまうと思います。
日常生活に支障があるようでしたら、一度婦人科に相談してみましょう。生理のサイクルを安定させるためのお薬(低用量ピルなど)で解決できるかもしれません。
自分の生理周期をチェックしよう
もし、「生理予定日から何日ずれているのかわからない」という方は、生理管理アプリのケアミーを使ってみましょう。
生理がきた日を登録しておけば、次の生理予定日や、生理予定日から何日ずれているのかパッと見てわかります。
ケアミーは産婦人科医監修の安心できるアプリで、アプリ容量は軽く、また会員登録なしでも使いはじめられます。ぜひ一度、ダウンロードしてお試しください。
生理がくるのが早いとき
生理がくるペースってどれぐらい?
生理がくるペース、つまり、生理が始まった日から次の生理が始まる日の前日までの期間を「生理周期」といいます。例えば、1月1日に生理がきて、次の生理が1月29日にきたのであれば、生理周期は「28日」です。
生理周期の日数は個人差がありますが、平均的には28日前後です。そして、正常な生理周期の日数は25日〜38日とされています。(*1)
いつも生理周期が短い場合は少し注意
もし生理周期が24日以下の場合は少し注意しましょう。医学的には、生理周期が24日以下のことを頻発月経(ひんぱつげっけい)といいます。
頻発月経は思春期にはよく起こることので、すぐに治療が必要ではないケースもあります。ただし、頻繁に生理がくるせいで貧血になってしまうこともありますから、生理周期の長さが24日以下なことが3回以上連続で続いたら、婦人科を受診すると良いでしょう。
生理がなかなかこないとき
いつも生理周期が長い場合は少し注意
さきほど説明したように生理周期の日数は平均的には28日前後で、正常な生理周期の日数は25日〜38日とされています。(*1)
そして、生理周期が39日以上で「なかなか生理がこない」ような状態のことを希発月経(きはつげっけい)といいます。
生理周期が短い頻発月経と同じように、生理周期が長い希発月経も思春期にはよく起こることです。なので、すぐに治療が必要ではないことも多いです。もし、生理周期の長さが39日以上なことが3回以上連続で続くことがあれば、婦人科を受診すると良いでしょう。
ちなみに、先ほど紹介した生理管理アプリのケアミーを使えば、自分の生理周期が何日なのかをひと目でチェックすることもできます。
自分の生理周期が短いのか長いのか、気になる人はケアミーを使ってチェックしてみましょう。
3ヶ月以上生理がこなければ婦人科へ
もし生理が3ヶ月以上こないようであれば婦人科にいきましょう。
生理が3ヶ月以上こない状態を「続発性無月経(ぞくはつせい むげっけい)」と呼びます。
原因は様々ですが、思春期に起こる続発無月経の多くは大幅な体重減少や過度なダイエットによる食事制限、その他、思春期特有のストレスなど心理的な原因によるものです。ただ、ときには婦人科系の疾患が見つかることもあります。
生理不順の対処法
十分な睡眠や運動でストレスを解消する
ストレスはホルモンバランスが乱れる大きな原因で生理不順につながります。十分に睡眠を取る、適度に運動する、趣味に打ち込むなど、ストレスを溜めこまないように意識してみましょう。
リラックス効果があるハーブティーを飲んでみるのも良いかもしれません。
栄養バランスにも気をつける
ダイエットを気にして食事をサラダだけで済ませる方もいますが、たんぱく質やコレステロールを摂取することも健康を維持するためには大切です。肉や魚、卵や乳製品も欠かさないようにしてください。
また、多くの油分や塩分を含むファストフードは、カロリーに対してビタミン・ミネラル・食物繊維を十分に摂取できません。ホルモンバランスが乱れる原因になるので控えましょう。
ピルも選択肢の一つ
ピルと聞くと「避妊薬」のイメージが強いかもしれませんが、ピルの効果は避妊だけではありません。
生理不順やひどい生理痛を伴う「月経困難症」、生理前の身体的・精神的な不調をまねく「月経困難症(PMS)」の治療薬としても活用されています。
日本ではまだ普及率が高くなく、「ピルを飲むなんて、いやらしい」という悲しくなるような誤解をしている人もいますが、ピルは女性の健康を守り、生活の質を高めるとても便利なアイテムです。
「ピル服用の効果は?避妊だけじゃないピルの効果を丁寧に解説」でピルについて詳しく紹介しているので、よければご覧ください。
以上、思春期の生理不順について解説しました。生理に関するトラブルには、将来的に子宮などの病気や不妊に繋がる原因が隠れていることもあります。心配なときは、まずは婦人科に相談しましょう。