ピルは避妊の成功率が高いだけでなく、生理痛やPMSの症状の緩和など、女性の生理の悩みを解決してくれる効果もあります。しかし「ピルを服用すると副作用で体調を崩してしまう」という話を聞いて不安になる方もいるかもしれません。この記事では、ピルの副作用について解説します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
ピルの副作用
「マイナートラブル」と呼ばれるピルの副作用
ピルを服用すると、以下のような副作用が現れることがあります。
- 乳房の張り
- むくみ
- 頭痛
- 胃のむかつきや吐き気
これらの副作用はピルを服用しはじめた頃に感じることが多く、「マイナートラブル」と呼ばれるもので大きな心配はいりません。1〜2ヶ月も服用を続ければ症状は治まります。
注意すべき副作用の症状
ただし、ピルを飲み始めて以下のような症状が起きた場合は、すぐに服用を中止して医師に相談してください。
- 激しい腹痛
- 激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような痛み
- 激しい頭痛
- 目が見えにくくなった、視野が狭く感じる
- 舌のもつれ
- ふくらはぎの痛み、むくみ
- けいれん
- 失神、意識障害
気をつけたい血栓症のリスク
定期的な診察が大切
ピルは血栓症の発症率を高めるリスクがあります。血栓症とは、血管の中で血が固まり、血管が詰まってしまう症状です。ただし、発症することはごく稀なので、ピルを飲むほとんどの方にとっては問題になることはありませんし、医師のチェックを定期的に受けることでリスクを限りなく回避できます。
ピルの服用ができない方
血栓症の発症リスクを回避するために、体質や生活習慣が以下のいずれかに該当する場合はピルを服用できないケースがあります。
- 35歳以上で1日に15本以上喫煙する
- 高血圧
- 高度な肥満(BMI35以上)
- ひどい偏頭痛がある
- 重い持病がある
- 乳がん、子宮筋腫、子宮体がんがある、またはその疑いがある
- 静脈血栓症などの血栓性疾患にかかったことがある
- 妊娠中、出産後6週間以内、授乳中
以上、ピルの副作用や血栓症のリスクについて説明しました。
こうして副作用について知ると不安になるかもしれませんが、医師の指導のもとで適切に服用する限り、ほとんど心配はありません。定期的に検診を受けたり検査をしたりして、重大な副作用が出ないように服用することが大切です。
ピルを処方してもらうには
ピルはどこで処方してもらえる?
ピルは婦人科のクリニックで処方してもらえます。Webで「ピル外来+お住まいのエリア」を検索すると、ピルを処方してくれる婦人科クリニックの情報を得られるはずです。
クリニックでの処方の流れは?
クリニックでは、ピルの処方の前に問診が行われます。問診では、服用のリスクを判断するため、喫煙の習慣があるかどうかや、過去に婦人科系の疾患にかかったことがあるかどうかなどを質問されます。問診に加え、必要に応じて採血を実施したり、ピルの服用方法についての説明を受けたりして、ピルを処方してもらえます。
ピルの値段や相場は?保険は適用されるの?
ピルの費用はクリニックによりますが、初回は初診料を含めて5000~8000円程度、継続処方の相場は1ヵ月分で3000円前後であることが多いです。
ピルは避妊や生理日のコントロールが目的であれば保険適用外となりますが、月経困難症や子宮内膜症など、婦人科系の病気治療を目的として処方が認められる場合は保険が適用できることがあります。クリニックには念のため保険証を持参し、医師に相談すると良いでしょう。