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  • 作成日:2020.01.15
  • 更新日:2020.05.31

コンドームだけじゃない?女性を守る、ピルの避妊効果について

妊娠しないように気をつけている女性にとって「ちゃんと避妊できているかな?」という不安はつきものです。コンドームをちゃんと使っていても、ときには「あれ、大丈夫だったかな……」と不安になるようなこともあるのではないでしょうか。この記事では、より確実な避妊手段としてピルをご紹介します。そもそもピルはどのような薬なのか、また副作用の心配はあるのか、どこで処方してもらえるのか、一つずつ丁寧に解説します。

この記事の監修医師

産婦人科専門医 月花瑶子

産婦人科専門医 月花瑶子

北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)

コンドームよりも高い、ピルの避妊効果

コンドームよりも高い、ピルの避妊効果

避妊方法の種類

「コンドーム」は避妊手段の主流となっていますが、実は避妊をする方法はいくつかあります。避妊効果の高い順に並べると、以下のようになります。

<避妊方法>
不妊手術(男性・女性):精子の通り道、卵子の通り道を塞いだり切断する方法。
経口避妊薬(ピル):女性が服用する錠剤。
子宮内避妊具/子宮内避妊システム:妊娠を防ぐ特殊な器具を子宮内に挿入する方法。
コンドーム:精子の腟内への侵入を防ぐ方法。
・周期的禁欲法:妊娠の可能性が高い期間を避けて性交する方法。

ただし、不妊手術や子宮内避妊具/子宮内避妊システムの普及率は高くなく、また周期的禁欲法は避妊効果が低いため、妊娠しないように気をつけている方にとっては経口避妊薬(ピル)かコンドームの二択というのが実際のところでしょう。

ピルの避妊効果

ピルの避妊効果

コンドームは、適切に使用している場合でも避妊の失敗率は約2%、一般的な使用方法では15%にも達すると言われています(*1)。

また、コンドームは男性主導の避妊なので、女性自身が完全にコントロールすることが難しいという欠点もあります。

(*1)日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」

一方で、ピルは正しく服用すれば避妊成功率が99.7%とほぼ確実に避妊ができ、女性が主導できることも魅力です。

コンドームよりも高い、ピルの避妊効果

コンドーム + ピル の併用が理想

ただし、注意点としてはピルの飲み忘れなど正しく服用ができていないケースを考慮すると、ピルの避妊失敗率も8%に高まるため、「ピルさえ飲んでいれば大丈夫」という訳ではありません

また、ピルはコンドームに比べて避妊効果は高いですが、性病感染を防ぐことはできません。ですから、より確実に避妊効果を高め、また性感染症を防ぐためにはピルとコンドームの併用が望ましいことは覚えておいてください。

ピルってどんな薬?

ピルってどんな薬?

ピルとは、女性ホルモンを配合した錠剤です。ピルを服用すると妊娠に必要な女性ホルモンの分泌を抑えることができ、妊娠する確率を限りなく低くすることができます。

なお、「ピルを服用していると、将来的に妊娠できなくなったりしないかな?」と不安に思う方がいるかもしれませんが、心配はいりません。ピルを飲み続けたとしても、服用をやめれば通常通りに妊娠できる状態に戻ります。

ピルの副作用とリスク

ピルの副作用とリスク

ピルの副作用

「ピルの服用」と聞くと副作用が気になる方がいるのではないでしょうか。ピルの副作用についてはこちらの記事「ピルって大丈夫?ピルの副作用について丁寧に解説」で詳しく説明しています。

簡単に紹介すると、以下のような副作用が現れることがあります。

・乳房の張り
・むくみ
・頭痛
・胃のむかつきや吐き気

これらの副作用はピルを服用しはじめた頃に感じることが多く、「マイナートラブル」と呼ばれるもので大きな心配はいりません。1~2ヶ月も服用を続ければ症状は治まります。

正しく服用すれば血栓症のリスクは抑えられる

正しく服用すれば血栓症のリスクは抑えられる

血管の中で血が固まって血管が詰まってしまう「血栓症」のリスクもありますが、発症することはごく稀なので、ピルを飲むほとんどの方にとっては問題になることはありません。医師の指示に従い、定期的にチェックを受けることでリスクを限りなく回避できます。

※ピルは持病や体質によっては服用ができない方もいます。

避妊以外のピルの服用メリット

避妊以外のピルの服用メリット

ピルのメリットは避妊効果だけじゃない

ピルの服用には以下のようなメリットもあります。

<ピルの服用で期待できる効果>

・生理痛(月経困難症)やPMS(月経前症候群)の症状緩和
・経血量の減少と出血期間の短縮
・月経不順(生理不順)の改善
・生理日のコントロール
・子宮内膜症の予防や症状緩和
・卵巣ガンや子宮体ガンなど婦人科系疾患の予防
・ニキビの改善

ピルの服用のメリットはこちらの記事「ピル服用の効果は?避妊だけじゃないピルの効果を丁寧に解説」で詳しく紹介していますので、ぜひご一読ください。

ピルを処方してもらうには

ピルを処方してもらうには

ピルはどこで処方してもらえるの?

ピルは婦人科のクリニックで処方してもらえます。Webで「ピル外来+お住まいのエリア」を検索すると、ピルを処方してくれる婦人科クリニックの情報を得られるはずです。

クリニックでの処方の流れは?

クリニックでの処方の流れは?

クリニックでは、ピルの処方の前に問診が行われます。問診では、服用のリスクを判断するため、喫煙の習慣があるかどうかや、過去に婦人科系の疾患にかかったことがあるかどうかなどを質問されます。問診に加え、必要に応じて採血を実施したり、ピルの服用方法についての説明を受けたりして、ピルを処方してもらえます。

ピルの値段や相場は?保険は適用されるの?

ピルの値段や相場は?保険は適用されるの?

ピルの費用はクリニックによりますが、初回は初診料を含めて5,000~8,000円程度、継続処方の相場は1ヵ月分で3000円前後であることが多いです。

ピルは避妊や生理日のコントロールが目的であれば保険適用外となりますが、月経困難症や子宮内膜症など、婦人科系の病気治療を目的として処方が認められる場合は保険が適用できることがあります。クリニックには念のため保険証を持参し、医師に相談すると良いでしょう。

以上、この記事ではピルの避妊効果について解説しました。コンドームは男性主導の避妊方法である一方で、ピルは女性自身がコントロールできる避妊方法です。

また、避妊以外にも生理痛やPMSなどの症状緩和も期待できるため、ピルは女性の健康を守り、より快適な毎日を過ごせるようになるかもしれません。ピルの服用に興味があれば、一度お近くの婦人科クリニックに相談してみてください。婦人科の選び方は「どこに行けばいいの?婦人科を選ぶときの3つのポイント」で解説しています。よければ、あわせてご覧ください。

この記事の監修医師

産婦人科専門医 月花 瑶子

産婦人科専門医月花 瑶子

資格
医学博士
産婦人科専門医
経歴

2013年

北里大学医学部医学科卒業

2013年

日本赤十字医療センター

2015年

母子保健センター愛育病院
帝京溝の口病院 産婦人科

2016年

国立成育医療研究センター 不妊診療科

2018年

杉山産婦人科

所属
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
日本女性医学学会

著:吉川雄司

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