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  • 作成日:2020.01.16
  • 更新日:2020.09.24

着床出血が出るのはいつ?時期や量など月経と見分けるポイントを解説

妊娠したときの初期症状として、少量の血が出ることがあります。これを「着床出血」といいます。しかし、着床出血のタイミングは通常の生理(月経)と近いこともあり、「これって着床出血?それとも生理?」と疑問に思うかもしれません。この記事では、着床出血の原因やタイミング、生理と見分けるポイントを解説します。

着床出血が出るのはいつ?

着床出血が出るのはいつ?

着床出血は生理予定日前に起こることが多い

着床出血は、生理予定日の1週間前から予定日までの間に起こることが多く、出血は2〜3日で止まります。着床後に妊娠が継続していれば、もちろん生理は来ません。

着床出血が起こる仕組み

「着床」とは、精子と卵子が合体した受精卵が子宮の内側の膜(子宮内膜)にくっついて潜り込むことをいいます。「着床出血」は受精卵が子宮内膜に潜り込むとき、子宮の小さな血管を傷つけることで起こるものです。

着床出血が起こる確率

妊娠したら必ず着床出血が起きるわけではなく、起こらない人の方が多いのです。着床出血が起こる確率は妊娠した人の8%~25%と言われています(*1)。着床出血があったとしても、妊娠に影響はないので安心してください。

(*1)NEWエッセンシャル産科学・婦人科学第3版, 327p, 医歯薬出版, 2004

着床出血と生理を見分けるポイント

着床出血と生理を見分けるポイント

着床出血の「量」は少量

生理周期が安定している方であれば、着床出血と生理は「出血量」で見分けられます。着床出血で出る血は少量で、出血する期間も2〜3日と短いのが特徴です。

着床出血の色は鮮血

着床出血の色は鮮血(鮮やかな赤色)のこともあれば茶色いこともあります。おりものに混じって出てくる場合、おりものが薄いピンク色や茶色に見えることもあります。

月経不順(生理不順)の場合は不正出血との見極めが難しい

生理不順(月経不順)の場合は不正出血との見極めが難しい

ここまで、着床出血の特徴として以下の3点を紹介しました。

1)着床出血は生理予定日の1週間前から予定日までの間に起こることが多い
2)着床出血の出血量は少なく、2〜3日で出血は止まる
3)着床出血の色は鮮血や茶色などさまざま(おりものに混じると薄いピンク)

生理周期が安定している方は出血のタイミングなどから着床出血を予測できるでしょう。注意が必要なのは生理不順(月経不順)の方です。次の生理予定日が不明確ですから、出血があってもそれが着床出血なのか、それともただの不正出血なのかを見極めるのは難しいかもしれません。

着床出血以外の出血の原因

着床出血以外の出血の原因

「着床」以外でも出血は起こる

そもそも着床出血は「不正出血(月経以外に出血が起きること)」の一つです。不正出血は妊娠以外の原因でも起こります。生理前に不正出血があるからと言って「妊娠した」と断定することはできません。「妊娠したら、生理予定日前に不正出血が出ることもある」という程度に理解しておくのがよいでしょう。

着床以外の理由で不正出血が起こるケースを紹介しておきます。

ホルモンの分泌が原因の「機能性出血」

ホルモンの分泌が原因の「機能性出血」

「機能性出血」とは、ホルモンの分泌が原因で起こる不正出血です。

原因1:排卵日前後のホルモンバランスの変化

排卵日前後は女性ホルモンのバランスが急に変化するため、子宮内膜が剥がれて血として流れ落ちることがあります。これは「中間期出血」(または「排卵期出血」)と呼ばれる生理現象で、病気の心配はありません。

原因2:ストレスなどによるホルモンバランスの乱れ

不正出血はストレス急激なダイエットなどによるホルモンバランスの乱れによっても起こります。

原因3:年齢によるホルモンバランスの変化

思春期や更年期など、ホルモンバランスに変化が見られる時期は、頻繁に不正出血が起こることがあります。

子宮や腟の疾患が原因の「器質性出血」

子宮や腟の疾患が原因の「器質性出血」

「器質性出血」とは、婦人科系の疾患が原因で起こる不正出血です。考えられる原因としては以下が挙げられます。

・子宮内膜ポリープ
・子宮頸管ポリープ
・子宮筋腫(特に子宮粘膜下)
・子宮頸部びらん
・子宮腺筋症
・腟炎

また、頻度は低いですが注意したい疾患としては、以下の2つです。

・子宮頸がん
・子宮体がん

このような疾患にかかっていると、不正出血が2~3周期続く、1週間以上も出血する、出血の量が生理よりも多いなどの症状が生じます。

生理予定日前後の出血には流産の可能性もある

生理予定日前後の出血には流産の可能性もある

流産が原因で出血している可能性もある

生理予定日前後の出血で注意しておきたいのは、流産です。出血量が多かったり、腹痛がひどい場合は流産の可能性があります。

流産の確率は20代で約10%~12%の確率、30代では約15%〜25%と言われています(*2)悲しいことですが、流産は決して珍しくはないのです。

(*2)Nybo Andersen AM1, Wohlfahrt J, Christens P, Olsen J, Melbye M. Maternal age and fetal loss: population based register linkage study

流産には以下のような種類があります。

流産の一歩手前「切迫流産」

切迫流産は、流産になる可能性がある状態で、少量の出血や腹痛が起こります。そのまま妊娠し続けられる可能性もあるので、このような症状があれば産婦人科で診察を受けてください。

初期流産(化学的流産)

初期流産は、妊娠検査薬や産婦人科の妊娠判定で陽性反応(=妊娠反応)が出たものの、超音波検査によって妊娠が確認できる前に流産してしまった状態です。症状としては、生理(月経)のように出血が起こります。受精卵の染色体異常が原因で起こる流産で、特に治療は必要ありません。妊娠判定をしなければ流産に気づかず「生理が来た」と勘違いすることもあります。

稽留(けいりゅう)流産

稽留(けいりゅう)流産は、超音波検査で子宮内に胎児(胎芽)は確認できたものの、妊娠8週目頃になっても心拍が確認できず発育が停止している状態です。出血や腹痛といった自覚症状はありませんが、これも流産の一つです。胎児は自然に排出されることもありますが、排出されない場合は子宮内容除去術という治療を行います。

進行流産

進行流産になると出血がはじまり、子宮内容物が外に出てきている状態です。多量の出血と強い腹痛が症状として現れます。進行流産は「完全流産」と「不全流産」に分けられます。

完全流産は子宮内容物(胎児)がすべて自然に出てしまった状態で、流産のあとは出血や腹痛が治まる場合が多いです。診察後は経過観察で対処することが多いですが、場合によっては薬を処方されることもあります。

不全流産は子宮内容物の一部が子宮内に残っている状態です。出血・腹痛が続き、施術を行うことが多いです。

生理予定日前後に出血があり、出血量が多かったり、腹痛がひどい場合は流産の可能性があることも覚えておきましょう。

以上、生理前の着床出血について解説しました。着床出血のタイミングや特徴を紹介しましたが、血を見ただけで着床出血と他の原因による出なを判断するのは難しいことです。妊娠に心当たりがあれば妊娠検査薬や産婦人科で妊娠判定検査を受けるようにしてください。

妊娠検査薬については「【比較解説】おすすめの妊娠検査薬8選!早期妊娠検査薬や海外製の解説付き」で紹介しています。ぜひご覧ください。

この記事の監修医師

産婦人科専門医 月花 瑶子

産婦人科専門医月花 瑶子

資格
医学博士
産婦人科専門医
経歴

2013年

北里大学医学部医学科卒業

2013年

日本赤十字医療センター

2015年

母子保健センター愛育病院
帝京溝の口病院 産婦人科

2016年

国立成育医療研究センター 不妊診療科

2018年

杉山産婦人科

所属
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
日本女性医学学会

著:吉川雄司

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