「そろそろ生理が終わるかな?」と思っていたのに少量の血がダラダラと出る日が続くと不安になりますよね。このようになかなか生理が終わらないのは、通常よりも生理期間が長い「過長月経」や「不正出血」の可能性が考えられます。この記事では、過長月経や不正出血の原因と病院に行く目安について解説します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
どれぐらい生理が長いと心配すべき?
生理の長さってふつうはどれぐらい?
生理は何日ぐらい続くのがふつうなのでしょうか?生理期間の長さは人によって違いますが、一般的には5日程度の人が多いです。
医学的には、正常な生理期間の長さは3日〜7日(*1)とされていて、8日以上続く生理は「過長月経」と呼ばれます。
ですから、生理が8日以上続いたときは少し注意しましょう。
生理が終わらないときに考えられること
なかなか生理が終わらないときは、先ほど紹介した「過長月経」のほかに、「不正出血」の可能性も考えられます。
どちらであっても、ただのホルモンバランスの乱れが原因なこともあれば、子宮などの病気が原因なこともあります。
以下では、生理が長い「過長月経」や、だらだらと少量の出血が続く「不正出血」について解説します。
生理が長い「過長月経」とは
生理が8日以上続く 「過長月経」の原因
生理が8日以上続く症状を「過長月経(かちょうげっけい)」と呼びます。
「過長月経」が起こる原因は主に3つです。
1. 女性ホルモンのバランスが乱れている
2. 子宮などに器質的な疾患がある
3. 排卵が起こっていない「無排卵周期症」
過長月経の原因は1つ目の女性ホルモンのバランスが乱れていることです。日常のストレスや疲れからホルモンバランスが乱れることはよくありますし、また、思春期や更年期などホルモンバランスが不安定な時期は、過長月経の症状がみられることは珍しくありません。
しかし、上記の2つ目や3つ目のような問題が原因なこともあるため、病院で診てもらったほうがよいこともあります。
過去の生理を振り返ってみよう
生理期間がいつもよりも長いと感じたら、まずはこれまでの生理期間の日数を振り返ってみましょう。と言っても、なかなかきっちりとは覚えていない人も多いと思います。
そんなときに役立つのは生理管理アプリです。例えば、無料で使える生理管理アプリのケアミーは過去に生理が何日間続いていたのかパッとみてチェックすることができます。
このように生理管理アプリに記録しておけば、自分の生理のことがわかるようになり、婦人科に行くべきかどうか判断するための材料にもなります。
ケアミーは産婦人科医監修の安心できるアプリで、アプリ容量は軽く、また会員登録なしでも使いはじめられます。ぜひ一度、ダウンロードしてチェックしてみてください。
過長月経の病院に行く目安
たまに生理が長いのは大丈夫
「生理が8日以上続くことがたまにある」程度であれば心配はいりません。おそらくホルモンバランスの乱れが原因だと考えられます。
そのような方は、ストレスや急激なダイエット、学校や職場の環境変化など、ホルモンバランスが乱れる原因になるようなことがないか振り返り、改善できるように心がけましょう。
病院にいく目安
ただし、生理がダラダラと8日以上も続くような周期が毎回のようにある、または経血量がとても多いときは注意しましょう。
子宮などに器質的な疾患がある、または、排卵などに働きかけるホルモン分泌に異常があるかもしれません。
以下のような場合は、一度婦人科で診てもらいましょう。
・生理期間が8日以上の周期が3回以上続く
・ナプキンを1~2時間ごとに交換しないと間に合わないぐらい経血が多い
・経血に大きな血の塊(レバー状)が混じることが多い
・貧血を感じる
経血量が多い「過多月経」にも注意
生理が8日以上続く「過長月経」の場合、経血量が通常より多い「過多月経(かたげっけい)」という症状もあわせて起こっていることが多いです。
経血量はあまり意識したことがないと思いますが、「正常な生理」の範囲では20ml〜140mlと個人差があり、平均的には50ml程度です。
そして、経血量が140mlよりも多い生理を「過多月経」といいます(*2)。
「過多月経」かどうかのチェックポイント
経血の量が「140ml以上」と言われてもピンと来ないかと思いますが、目安としては、以下のような状態であれば「過多月経」だと考えられます。
・1〜2時間ごとにナプキンを交換しないと間に合わない
・日中も夜用ナプキンを使わないと漏れてしまう
・経血に大きな血の塊(レバー状)が混じることが多い
・貧血を感じる
生理が長い「過長月経」が心配なときは、経血の量も多くなっていないか、あわせてチェックするようにしましょう。
生理が終わらないのは不正出血?
不正出血の可能性もある
「生理が終わらない」、「ダラダラと何日も続く」という場合、もしかすると不正出血の可能性もあります。
女性ホルモンのバランスが変化することが原因で、生理期間以外のタイミングで出血することを不正出血と呼びます。
生理の終わりかけのタイミングから不正出血があると、生理がなかなか終わらないようにダラダラと出血し続けているように感じます。
不正出血は通常、少々の出血が続きます。「ほとんど終わりかけのような生理が続いている」という程度の出血量であれば、不正出血かもしれません。
このような不正出血は、思春期など若い人に多く見られることから「若年性出血」とも呼びます。
病院にいく目安
このような不正出血は病気が原因ではないことが多いですから、しばらくは様子をみても大丈夫です。
しかし、以下のような場合は婦人科系の疾患が原因で不正出血が起こっている可能性もあるため婦人科で診てもらいましょう。
・3周期以上、同じようにダラダラ続く生理がある
・いつもの生理期間に加えて10日以上、出血が続く
・出血が多量でナプキンをこまめに変えないといけない
・出血が原因で貧血になる
不正出血については「不正出血の原因は?ストレスのせい?不正出血の種類と病院に行く目安」で詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
婦人科での診察内容
婦人科ではどんな診察をするの?
婦人科に行ったことがない人にとっては、初診でどのような診察をするのか気になるかと思います。
生理が長く続く、または生理が終わらないような症状で婦人科にかかる場合は以下のような診察をします。
・問診
生理周期の長さや、平均的に生理が続く日数、最後に生理が来た日、初潮年齢、また妊娠・出産歴、アレルギーの有無などが質問されます。
・血液検査
採血によってホルモンの状態や貧血の症状がないか検査します。
・内診
子宮などに異常がないか検査します。
繰り返す過長月経や不正出血は注意
この記事で解説したように、女性ホルモンのバランスが乱れることによって、過長月経や不正出血などの「生理のトラブル」は起こりがちです。
特に思春期であれば、ほとんどのケースは女性の成人への発達過程でよく起こることなので大きな心配はありません。また、成人であっても、普段の生活を振り返り、生活習慣や環境を改善を心がけながら、様子をみて大丈夫でしょう。
ただし、繰り返し過長月経や不正出血の症状がみられ、大量の出血や貧血、またひどい腹痛などを伴うような場合は病気の可能性も考えられます。
心当たりがあれば、婦人科で診てもらいましょう。
参考文献
(*1)(*2)日本産婦人科医会「正常な生理(月経)の目安を教えてください!」,https://www.jaog.or.jp/qa/youth/qashishunki5/