「危険日」や「安全日」という言葉を聞いたことはありますか?これは避妊に気をつけているときに、妊娠しやすい日を「危険日」、妊娠しにくい日を「安全日」と表す俗語です。この記事では、危険日や安全日とは具体的にいつのことなの解説します。また、危険日がいつかわかる生理管理アプリや危険日計算カレンダーを紹介するので、ぜひご利用くださいね。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
危険日っていつ?
妊娠の可能性が高いのは排卵期
危険日を知るためのキーワードは「排卵期」です。
生理周期は4つの期間に分けられます。「月経期」からはじまり、卵子が育つ「卵胞期」、排卵が起こる「排卵期」、そして次の生理がくるまでの「黄体期」の4つです。
妊娠の可能性が高いのは「排卵期」です。特に排卵日の3日前から前日までの3日間は妊娠の確率が高まります(*1)。また、その前後も妊娠の可能性はありますから、排卵日の1週間前ぐらいから排卵日翌日ぐらいまでは「危険日」と言えるでしょう。
排卵日の目安は次の生理予定日の14日前頃
正常に生理がくる人の場合、排卵が起こった日の約14日後に生理がはじまります(*2)。
ですから、逆にいえば、次の生理予定日の14日前頃がおおよその「排卵日」と考えられます。「頃」と少し曖昧な表現をしている理由は、ホルモンバランスや体調によって多少のズレが起こるからです。
危険日の計算方法
では、具体的に排卵日や危険日を計算してみましょう。
仮に、次回の生理予定日が1月29日とします。すると「次の生理予定日の14日前頃」が排卵日の目安なので
1月29日 − 14日前 = 1月15日頃
と計算できます。
もしカレンダーで見るときは、生理予定日の2週間前が目安ですね。
排卵日が1月15日頃だと分かったら、危険日は以下のように計算してください。
妊娠しやすい期間:
排卵日の5日前から排卵日の翌日 = 1月10日〜1月16日 (±2日程度)
特に妊娠の可能性が高い期間 :
排卵日の3日前から排卵日前日 = 1月12日〜1月14日 (±2日程度)
ここで「±2日程度」と記載した理由は先ほどもお伝えした通り、排卵日は月によって多少のズレが起こるからです。このように計算すると、妊娠しやすい期間である危険日は何日間もあるものだと分かると思います。
また、ホルモンバランスの乱れなどによって排卵するタイミングが1週間以上ずれることもあります。そのため「危険日」の計算はあくまで目安であり、どんなときでもきちんと避妊をすることが大切です。
危険日がすぐにわかる便利なツール
妊娠の可能性が高い日がわかるアプリ
排卵日の目安(排卵予定日)や妊娠の可能性が高い日を知るために「生理管理アプリ」を使うのは手軽な方法です。
例えば、生理管理アプリのケアミーは、生理日の記録から「排卵日」が予測されます。アプリを開けばすぐにカレンダーが表示され、「排卵予定日」を簡単にチェックできます。
危険日の目安である「排卵日前後の数日間」もカレンダー上に表示されるため(緑色の日付)、特に避妊に気をつけるべき日付もパッとチェックすることができます。
ケアミーは産婦人科医監修の安心できるアプリで、アプリ容量は軽く、また会員登録なしでも使いはじめられます。ぜひ一度、ダウンロードしてお試しください。
危険日を計算できるカレンダー
前回の生理開始日と、いつもの平均的な生理周期の長さを入力すると妊娠の可能性が高い「危険日」を表示してくれるカレンダーもあります。よければご利用ください。
前回の生理開始日
生理周期の日数
生理が開始した日から、次の生理が来るまでにかかる平均的な日数を入力してください。その他の排卵日や危険日の予測方法
排卵日を予測して危険日の目安を知る方法は他にもあります。
①基礎体温を測って予測する
基礎体温を測るため婦人体温計を使い、生理周期や排卵にあわせた体温の変化を見る方法です。
詳しくはこちらの記事「【排卵日予測】基礎体温の測り方とグラフの見方を丁寧に解説」で詳しく解説しているのでご興味があればご覧ください。
②排卵検査薬を使って予測する
排卵が起こる前のホルモンの変化から、排卵日を予測する方法です。スティック型の薬品で、ドラッグストアなどで購入できます。
排卵検査薬を使って排卵日を予測する方法はこちらの記事「【排卵日予測】排卵検査薬はいつから使うの?正しい使い方を解説」で詳しく解説しています。
安全日はあるの?
生理前や生理中は安全日?
ここまで危険日について解説しましたが、「安全日」についても説明します。
もしかすると、生理の直前や生理中は「安全日」、つまり、避妊に気をつけなくても妊娠することはないと聞いたことがあるかもしれません。
たしかに、妊娠しやすい期間というのは、生理周期の真ん中あたりの排卵が起こるタイミング(排卵期)なので、生理の直前や生理中は妊娠の可能性は低いことが多いです。
「安全日」はないと考えよう
ただし、ストレスなどのちょっとしたきっかけでホルモンバランスが乱れると、排卵がいつもよりも早く起こったり、遅く起こったりすることがあります。
カレンダーで日付をみて「きっと生理前だし今日は大丈夫!」と思っても、実はそのタイミングで排卵が起こっていて、妊娠の可能性が高いことがあります。
また、排卵がいつもよりも早く起こると、タイミング次第では生理中の性行為でも妊娠する可能性があります。
ですから、「安全日なんて、存在しない」と考えるほうが良いでしょう。妊娠を望んでいないのであれば、どんなときでもきっちりと避妊をしてください。
望まぬ妊娠のリスクを下げる方法
低用量ピルを服用する
日本では避妊方法として「コンドーム」を使う人が多いですが、それよりも妊娠のリスクを下げる方法があります。それは、低用量ピルの服用です。
コンドームは、適切に使用している場合でも避妊の失敗率は約2%、一般的な使用方法では15%にも達すると言われています(*1)。
また、コンドームは男性主導の避妊なので、女性自身が完全にコントロールすることが難しいという欠点もあります。
一方で、ピルは正しく服用すれば避妊成功率が99.7%とほぼ確実に避妊ができ、女性が主導できることも魅力です。
低用量ピルの避妊効果については「コンドームだけじゃない?女性を守る、ピルの避妊効果について」で詳しく解説しています。よければご覧ください。
コンドームもあわせて使うことは大切
ただし、低用量ピルを服用していてもコンドームを使わなくていいわけではありません。
コンドームは妊娠を防ぐ役割だけでなく、性感染症を防ぐ役割もあります。低用量ピルだけでは性感染症は防ぐことができないので、コンドームは使用するようにしてください。
もし「避妊に失敗した」と思ったら
避妊に失敗したときのピル「アフターピル」
危険日がいつなのか分かっていたとしても、危険日のタイミングとデートが重なったりしてパートナーとセックスすることはあるでしょう。
しっかりとコンドームをつけたつもりでも、気づけばコンドームが外れていた、破れていた、なんてことがあると不安になると思います。
そんなときには、「緊急避妊薬(アフターピル)」で対処できることを覚えておいてください。
アフターピルは性交から72時間以内に服用する
緊急避妊薬(アフターピル)とは、妊娠を望んでいないにも関わらず、妊娠の可能性があるセックスをした後に服用する錠剤です。
性交から72時間以内にアフターピルを服用すれば、妊娠の可能性を可能な限り回避することができます。しっかりとコンドームや低容量ピルなどを活用して避妊をすることは大切ですが、万が一のときはアフターピルという選択肢があることは覚えておきましょう。
アフターピルについて詳しくは「【避妊失敗】アフターピルってなに?避妊に失敗した時の対処法」をご覧ください。
以上、この記事では危険日と安全日について、危険日の計算方法、そして避妊手段としてピルについて解説しました。望まぬ妊娠を防ぐためにも、しっかりと避妊には気をつけるようにしましょう。
参考文献
(*1)DavidB.Dunson, et al.,HumanReproduction,2002,Changes with age in the level and duration of fertility in the menstrual cycle,https://academic.oup.com/humrep/article/17/5/1399/845579
(*2)日本産婦人科医会 女性の健康Q&A 「月経について教えて下さい。」,https://www.jaog.or.jp/qa/youth/%E6%9C%88%E7%B5%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E6%95%99%E3%81%88%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82/