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  • 作成日:2019.12.18
  • 更新日:2020.05.29

生理前のイライラはなぜ?カラダの不調の原因は?生理前の症状への対処法

生理前はイライラしたり、理由もなく悲しくなったりすることはありませんか?また、頭痛や乳房の張り・痛み、眠気、倦怠感などのカラダの不調を感じる方も少なくありません。この記事では、生理前にあらわれる症状の原因や対処法を解説します。

この記事の監修医師

産婦人科専門医 月花瑶子

産婦人科専門医 月花瑶子

北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)

生理前の症状「PMS」の原因

生理前の症状はPMS(月経前症候群)

生理前のホルモンバランスの変化が原因

生理が始まる前の数日間(3〜10日間程度)に、イライラしたり悲しくなったりするような精神的な症状で悩む方は少なくありません。また、頭痛や眠気、乳房の張りなど身体的な変化を感じる方も多いです。

生理前にこのような症状があらわれることをPMS(月経前症候群)と呼びます。

PMSは珍しいことではなく、生理がある女性の7〜8割程度は何かしらの症状があるといいます。PMSの症状の特徴としては、生理が始まると症状がおさまることが挙げられます。

生理前の精神的な症状一覧

PMSの精神的症状

・イライラ
・情緒不安定
・抑うつ
・不安
・悲しくなる
・自己否定感 など

生理前の身体的な症状一覧

PMSの身体的症状

・腹痛
・頭痛
・腰痛
・むくみ
・お腹や乳房の張り
・眠気
・睡眠障害
・のぼせ、ほてり
・食欲不振
・過食
・めまい
・倦怠感
・一時的な体重増加 など

PMS(月経前症候群)への対処法

1)栄養バランスの改善

カルシウムやマグネシウムの摂取はPMSの症状を緩和することに効果が期待できます(*2)。

カルシウムと言えば牛乳やチーズが思い浮かびますが、納豆や豆腐などの大豆製品はカルシウムに加えてマグネシウムも摂取できるためおすすめです。

マグネシウムは、野菜であればほうれん草やモロヘイヤ、ごぼう、アボカドなどに含まれますし、ホタテやカツオ、エビなどの魚介類にも含まれます。

一方で、過剰なカフェインやアルコールの摂取、そして喫煙は良くないため控えるようにしましょう。

(*2) 日本産婦人科学会 :産科・婦人科の病気 「 月経前症候群」

PMSは軽度であればやり過ごすこともできますが、症状が重いと日常生活に支障をきたすこともあります。PMSへの対処法はいくつかありますので、1つずつご紹介します。

2)ストレスの軽減

PMSになりやすい人の特徴として、神経質な性格日常的にストレスを感じる環境に身を置いていることが挙げられます。

生理周期の中頃からは意識的に適度な運動をしてみたり、仕事を調整したりしてストレスを解消することはPMSに対処する方法の一つです。

PMSはピルなどの薬によって症状を抑えることができます。

3)薬の服用

「ストレスを解消しましょう」と言われてもなかなかそうはいかないのが現実ではないでしょうか。

PMSはピルなどの薬によって症状を抑えることができます。生理が近づくにつれてPMSで悩んでいるという方は、一度婦人科へ相談しても良いでしょう。

PMSの症状を抑えるためのピルについては「ピルを飲めばPMSの悩みは解消できる?PMS対策としてのピルについて」で解説しています。あわせてご覧ください。

精神的にとてもつらい人は「PMDD」の可能性も

精神的にとてもつらい人は「PMDD」の可能性も

日常生活に支障がでるPMDD

生理前の精神的な変化に悩む方は少なくありません。たまに変化する程度であればまだしも、毎月のように生理前は落ち込んだり、イライラしたり情緒不安定になると日常生活に支障が出ますよね。

先ほど紹介したPMSの症状のうち、「精神的症状」が毎月現れるという方は「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性があります。

PMDD(月経前不快気分障害)とは

PMDD(月経前不快気分障害)とは

PMDDとは、PMSの中でも精神的な症状がより重度な症状で、うつ病などと同じ分類にあたる抑うつ障害群の一種です。学校や職場など、社会生活を送るのに明らかに支障が出てしまう程度の症状があればPMDDの可能性が高いです。

「PMDD」かどうかのチェックリスト

PMDDとは、PMSの中でも精神的な症状がより重度な症状で、うつ病などと同じ分類にあたる抑うつ障害群の一種です。

以下は、アメリカの精神医学会が作成したPMDDの診断基準(*1)です。心配のある方は、当てはまるかどうかチェックしてみてください。

チェック(1)

・ほとんどの月経周期において、月経開始前の最終週に少なくとも5つの症状が現れる(症状の種類は以下に記載)

・月経開始数日以内に症状は軽くなり始め、月経終了後の週には症状が最小限になるか、無くなる。

チェック(2)

・以下の症状のうち 1 つ、またはそれ以上が存在する。

(a)著しく感情が不安定(例:突然悲しくなる、または涙もろくなる、または拒絶に対する敏感さが高まる)
(b)著しくイライラしたり怒りっぽくなる、また、対人関係の摩擦が増える
(c)著しく抑うつや絶望を感じる、また、自己批判的な思考になる
(d)著しく不安や緊張を感じる、および/または「高ぶっている」や「いらだっている」という感覚になる

チェック(3)

・以下の症状のうち 1 つ、またはそれ以上が存在し、上記(a)〜(d)の症状と合わせると、症状が 5 つ以上になる。

(1)通常の活動(例:仕事,学校,友人,趣味)において興味が減退する
(2)何かに集中することが困難だと感じる
(3)倦怠感、疲れやすい、または気力の著しい欠如を感じる
(4)食欲の著しい変化,過食,または特定の食物が欲するようになる
(5)過眠または不眠
(6)圧倒される感覚、または制御不能な感覚を覚える
(7)乳房の張りや痛み、関節痛、筋肉痛、腹部の張りや体重増加などの身体的症状がある

チェック(4)

・チェック(1)〜(3)が過去1年間のほとんどの月経周期に当てはまる

上記のチェックリストから「もしかすると、PMDDかも?」と思う方は、婦人科ではなく精神科に相談しましょう。

(*1)American Psychiatric Association:Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th edition. Arlington, VA:Am Psychiatric Publishing, 2013. 日本精神神経学会(監),髙橋三郎ほか(訳).月経前不快気分障害.DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル.東京:医学書院;171-174,2014 より一部引用、改変

以上、生理前に起こるPMS(月経前症候群)の症状や原因、対処法について解説しました。また、情緒不安定などの精神的症状が強い場合はPMDD(月経前不快気分障害)という精神神経疾患であることも考えられます。

PMSやPMDDは治療によって改善することもできるため、ひどく悩んでいる方は婦人科(または精神科)に相談に行くことをおすすめします。

この記事の監修医師

産婦人科専門医 月花 瑶子

産婦人科専門医月花 瑶子

資格
医学博士
産婦人科専門医
経歴

2013年

北里大学医学部医学科卒業

2013年

日本赤十字医療センター

2015年

母子保健センター愛育病院
帝京溝の口病院 産婦人科

2016年

国立成育医療研究センター 不妊診療科

2018年

杉山産婦人科

所属
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
日本女性医学学会

著:吉川雄司

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