気づけばお菓子に手が伸び、食事もたくさん食べてしまう……。生理前は食欲が増し、いつも以上に食べてしまうことはありませんか?体重管理に気をつけている方にとって、ついつい食べすぎてしまう生理前の食欲は悩ましいことかもしれません。この記事では、生理前に食欲が増す理由や、過剰な食欲をコントロールするためのポイントを紹介します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
【1分解説】生理前の食欲への対処法
生理前の「おさえられない食欲」は女性ホルモンのバランスが変化することが原因です。生理前は体が水分を溜め込みやすく、むくみや便秘も気になるタイミング。ダイエットに気をつかっている人にとっては、体重が増えて気分も下がってしまいますよね。
生理前の食事で気をつけるポイントは以下の通りです。
- 適度に間食をする(アーモンドやヨーグルトなど)
- 加工された炭水化物を控える
- カリウムの摂取を心がける(むくみ対策)
- カルシウムの摂取を心がける(食べ過ぎを抑える)
ここからは、生理前に食欲が増す理由や対策について詳しく解説します。
生理前に食欲が増す理由
生理前に食欲が増すのはホルモンのせい
生理前はチョコレートやアイスクリームなどの甘いもの、またはポテトチップスなど塩気のあるもの、そして白米やパスタなどの炭水化物につい手が出てしまう、なんてことはありませんか?
実は、このような生理前の食欲はホルモンバランスの変化によるものです。
生理前の「食べ過ぎ(過食)」はPMSの症状のひとつ
生理前の「黄体期」は女性ホルモンのバランスが大きく変化し、カラダやココロにあらゆる症状がでることがあります。
このような生理前にあらわれる症状を「PMS(月経前症候群)」と呼びます。PMSの症状としては、眠気や頭痛、イライラしたり悲しくなったりという精神的な変化もあります。そして、便秘やむくみなどあるため「痩せづらい」と感じるのも生理前の特徴です。
そして「過食」、つまり食欲が旺盛になり食べすぎてしまうこともPMSの症状の一つです。
食事の工夫で生理前の食欲をコントロールしよう
生理前の食欲はホルモンバランスの影響によるものなので、ついつい食べ過ぎてしまう自分を責める必要はありません。
ただし、ダイエットや体重管理に気をつけている方にとっては、このような「おさえられない食欲」はストレスにもなりますよね。
そこで、生理前の食欲をコントロールする方法を紹介します。
生理前の食欲をコントロールする方法
適度な「間食」で食欲をコントロールしよう
ランチや夕食の「食べ過ぎ」を防ぐには、適度な「間食」が効果的です。ここで注意したいのは、間食で「何を食べるか」です。
この記事を読んでいる方は、間食でチョコレートやポテトチップスなどのお菓子を食べてしまっている方も多いのではないでしょうか。
甘いものは血糖値を高めて太りやすくなりますし、また塩分は「むくみ」の原因になります。生理前はホルモンの影響で体に水分を蓄えようとするため、ただでさえ「むくみやすい時期」です。
血糖値が上がりにくいタンパク質や食物繊維
では、どのようなものを間食に選べば良いのでしょうか?ポイントは、血糖値が上がりにくいタンパク質や食物繊維が豊富なものです。
例としては、以下のような食材を間食に選ぶと良いでしょう。朝食・昼食・夕食の合間に、少しずつこのような食材を間食として取ることで、ついつい食べ過ぎてしまうことを抑える効果が期待できます。
・玄米や五穀米
・ヨーグルトなどの乳製品
・アーモンドなどのナッツ類
・果物
・するめや昆布などの乾き物
ちなみに食物繊維を摂ると、糖分の消化や吸収が緩やかになります。そのため食物繊維は、食後に急に血糖値が上がるのを防ぐことができます。間食だけでなく、食事の際も、食べはじめは食物繊維を多く含む野菜などから食べると良いでしょう。
さらに、食物繊維は便秘解消にも繋がります。生理前は便秘で悩んでいる方は意識的に摂取するようにしましょう
生理前に気をつけるべき食べ物と飲み物
加工された炭水化物を控える
最後に、生理前の食事で気をつけるべきポイントを紹介します。
白米や砂糖の入ったジュース、クッキーなどは、カロリーが高いだけでなく、摂取すると血糖値を急激に高めます。
すると、血糖値を抑える働きをするインスリンが分泌され、今度は血糖値が急激に下がります。こうした血糖値の急激なアップダウンは空腹を感じさせ、ついつい食べ過ぎてしまうことがあります。
ですから、間食に白米や甘いジュース、甘いお菓子は控えるようにしましょう。
塩分の摂りすぎは「むくみ」の原因に
生理前の「黄体期」は体内に水分を蓄えようとする時期なので、むくみやすくなります。また、むくみの原因の一つは塩分の摂りすぎです。ですから、塩分を摂りすぎないように注意しましょう。
むくみ対策として効果的なのは、カリウムの摂取です。カリウムは摂りすぎた塩分を排泄し、体内の水分量を整える役割があります。
カリウムは多くの食材に含まれていますが、果物だとバナナや夏みかん、メロンに多く含まれます。その他、芋類や肉・魚、海藻類などにも多く含まれています。
アボカドもカリウムはたくさん含まれている食材なので、生理前はアボカドサラダを食事に取り入れるといいかもしれませんね。
生理前の食欲を抑える効果のある「カルシウム」
カルシウムを摂取すると、特定の食べ物が欲しくなったり、食欲増進を抑えるという研究結果もあります(*1)。
カルシウムを多く含む食材は、シシャモや干しエビなどの魚介類、木綿豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品、そして野菜や海藻類では小松菜やひじきなどです。生理前の時期には、意識的に摂取してみてはいかがでしょうか。
以上、この記事では生理前の食欲について、原因や対処法を紹介しました。ダイエットや体重管理が気になる方は、「生理中のダイエットは効果ある?食事や運動で注意すべきポイント」もぜひご覧ください。生理周期に合わせて変化する「痩せやすい時期」や「痩せにくい時期」について解説しています。
生理前はついつい食べ過ぎてしまいますが、うまく間食を挟むなどの工夫をして食欲をコントロールしましょう。