いつもと比べておりものの量が多いと「何か異変が起きているのでは?」と不安になるかもしれません。いつも以上におりものが増えたときは、病気が原因となっている可能性もあります。この記事では、おりものの量が多いときに考えられる病気について解説します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
おりものが多いときに考えられる病気
腟の炎症や性感染症が考えられる
生理周期にあわせた自然なおりものの増加ではなく、異変を感じるぐらいにおりものが増えたときは、腟に炎症が起こっていたり、性感染症の可能性が考えられます。
【考えられる腟の炎症や性感染症】
・細菌性腟炎(原因:免疫力の低下)
・性器クラミジア感染症(原因:性行為による感染)
・カンジダ膣炎(原因:免疫力の低下や性行為による感染)
・淋病(原因:性行為による感染)
・腟トリコモナス症(原因:主に性行為による感染)
疲れやストレスなどが原因の「細菌性腟炎」
体調不良やストレスによる免疫力の低下が原因
細菌性腟炎になると、おりものの量が増えます。そのほかには悪臭がしたり、おりものの色が灰色(や白色)になるのも特徴の一つです。
「細菌性腟炎」は、腟内で細菌が繁殖することが原因で起こります。
勉強や部活、仕事が忙しくて疲れが溜まったり、体調不良やストレスによって免疫力が低下したりすると、細菌の侵入や増殖を防ぐ「乳酸桿菌」の作用が弱まって細菌が増殖するのです。
【対処法】婦人科に相談しましょう。主に腟錠(腟に挿入する錠剤)などで治療します。
もっとも多い性感染症「性器クラミジア感染症」
感染者が多い「性器クラミジア感染症」
性器クラミジア感染症にかかることであらわれる症状は、おりものが増える、不正出血、下腹部痛などです。
クラミジアは自覚症状がないことも多く、そのため感染も拡がりやすい性感染症です。特に若い年齢層の感染者が多く、16〜25歳の男女の5~6%が感染しているといわれています(*1)。つまり20人に1人の割合ですから、実はとても多いことに気づくかもしれません。
感染後、症状がでるのは1〜3週間ほど経ってからです。もし心あたりがあれば、婦人科で診てもらいましょう。
【対処法】婦人科に相談しましょう。経口薬(飲み薬)の服用によって治療します。
その他の性感染症
クラミジア以外にも、おりものの量が増える性感染症にはカンジダ膣炎、淋病、腟トリコモナス症などがあります。
カンジダ膣炎:
おりものがヨーグルトのような状態になったり、かゆくなる
淋病:
濃い黄緑色のおりものが出たり、悪臭がする
腟トリコモナス症:
おりものが黄色や黄緑、また淡い灰色で、泡状になる
これらについては「おりものの色や性質に異常を感じるときのチェックポイント」で詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
子宮や卵管に炎症が起こっている可能性もある
子宮頸管炎や卵管炎の可能性もある
上記で説明したクラミジアなどの性感染症にかかることが原因で、「子宮頸管炎」や「卵管炎」に繋がることがあります。このような炎症が起こると、おりものの量が増えることがあります。
おりものの量が増える以外には、おりものに膿が混じったように少し黄色くなったり、下腹部に痛みを覚えたりします。
このような症状がある場合は、早めに婦人科に相談するようにしましょう。
病気以外でおりものが多くなる理由
女性ホルモンの変化でもおりものは増える
病気が原因ではなくても、女性ホルモンの変化によって排卵日付近はおりものが増えます。生理が終わったあとから1週間〜10日程度かけておりものの量は増え、排卵が終わると、おりものは減っていきます。
このような、生理周期とおりものの量については「おりものが増えたら排卵日?おりものと排卵日の関係について」で詳しく解説しています。よければ、ご覧ください。
以上、この記事ではおりものが多いときに考えられる病気について解説しました。何か心あたりがあれば、一度婦人科で診てもらいましょう。