生理前や生理中に頭痛で悩む方は少なくありません。「ズキン、ズキン」と痛む方は、生理周期に合わせた女性ホルモンの変化が原因で起こる「月経関連片頭痛(げっけいかんれんへんずつう)」の可能性があります。この記事では、生理日前後に頭痛になる原因や、対処法を詳しくご紹介します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
生理前や生理中の頭痛の原因は女性ホルモンの変化
生理のときに起こる頭痛は「月経関連片頭痛」
頭痛にはいくつか種類がありますが、その中でも生理(月経)と関連して起こる頭痛を「月経関連片頭痛(げっけいかんれんへんずつう)」と呼びます。
生理前から生理3日目ぐらいにかけて痛くなる
このような、生理が関係する頭痛は、生理が始まる2日前頃から生理開始後3日目頃までの間に起こることが多いです。
また、生理周期の中間頃の排卵日付近に起こることもあります。痛くなるタイミングや程度は個人差があります。
生理に関係するホルモンの変化で頭痛が起こる
このような頭痛は、生理日前や排卵日頃に女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌が減少することが引き金となっていると考えられています。
脳内血管が広がり、ズキンズキンと痛む
エストロゲンの分泌が減ると、セロトニンという神経伝達物質の分泌が減ります。セロトニンの分泌量が減ると血管を収縮させる働きが低下し、脳内血管が広がります。
血脈に合わせて「ズキン、ズキン」と痛むのは、血管が広がっているからです。
生理前や生理中の頭痛の特徴
生理前や生理中の頭痛はこんな症状
<症状>
・血脈に合わせるようにズキンズキンと波打つ強い痛み
・立ち歩いたりすると、頭に響くような痛み
・痛みは数時間から長ければ3日程度継続する
・吐き気がすることもある
・光や音に敏感になる
また、先ほども説明したとおり、生理が始まる2日前頃から生理開始後3日目頃や、生理周期の中間頃の排卵日付近で起こることが多いです。
生理前や生理中の頭痛対策の鎮痛剤
頭痛がひどくなる人は鎮痛剤を
下腹部が痛くなる生理痛に対して鎮痛剤を服用している方は多いのではないでしょうか。生理痛を抑える鎮痛剤を服用すると、頭痛の痛みも和らげることができます。
鎮痛剤は飲むタイミングが大切
生理痛対策と同じなのですが、鎮痛剤は「飲むタイミング」が大切です。
「痛みが我慢できなくなったら飲む」という方もいますが、実はこの飲み方は効果がでにくいので注意です。頭痛も生理痛も、「少しでも痛くなったら、すぐに飲む」のが大切です。
ドラッグストアなどで販売されている鎮痛剤の説明書にもそのように記載があるはずですので、一度ご確認ください。
効き目がなければ神経内科や頭痛外来へ
ただし、市販の鎮痛剤を飲んでも効き目が感じられない方は、一度医師に相談しましょう。月経関連片頭痛の診察は、神経内科や頭痛外来で受けられます。
治療として、トリプタン製剤と呼ばれる薬が処方されることがあります。トリプタン製剤には、痛みの元となる炎症を抑える、また、広がった血管を正常な太さに収縮させる効果があるため、痛みの解消を期待できます。
では最後に、鎮痛剤以外に頭痛の悪化を防ぐ、または痛みを和らげるセルフケアを紹介します。
頭痛をやわらげるセルフケア
1)入浴、運動、マッサージなどを控える
生理前や生理中に起こりがちな頭痛は、脳内血管が広がっているせいで痛みを感じています。ですから、入浴や運動、マッサージなど、血管を広げてしまうような行動は控えましょう。
2)痛みを感じる部分を冷やす
血管の広がりを抑えるために、冷やすことも効果が期待できます。痛む部分を氷で冷やすなど試してみましょう。
3)こめかみを押さえる
また、血流を抑えるために、こめかみを押さえると痛みがましになることがあります。
4)暗くて静かな部屋で安静にする
光や音によって、頭痛が悪化することがあります。痛みがひどいときは、部屋を暗くしてベッドやソファなどで横になり安静にしましょう。
以上、この記事では生理に関連して起こる頭痛「月経関連片頭痛」の原因や対処法を説明しました。
頭痛がひどいと、日常生活にも支障が出て困ると思います。できる範囲でセルフケアしながらも、必要に応じて医師に相談するようにしてください。