「なんとかして生理痛をやわらげたい……」。生理痛は、多くの女性にとっての悩みではないでしょうか。生理痛対策として、鎮痛剤を飲んだり、体を温めたり、ストレッチをしたり、人によって生理痛との付き合い方は様々です。この記事では、まずは生理痛の原因を解説し、そして痛みを緩和するための5つの方法を紹介します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
生理の仕組みと生理痛の原因
生理の仕組み
生理痛の原因を理解するために、まずは生理の仕組みからおさらいしましょう。
女性の体は毎月、妊娠に備えて子宮内膜(子宮の内側の膜)が少しずつ厚く成長します。排卵日を過ぎても妊娠しなかった場合は、厚くなった子宮内膜の一部が剥がれ落ち、血液となって排泄されます。
これが「生理(月経)」の仕組みです。
生理痛の原因
では、生理痛はなぜ起こるのでしょうか?
下腹部のあたりが痛くなる生理痛は、生理のときに経血を出すために、子宮の収縮を促す働きがある「プロスタグランジン」という物質が分泌されることが原因です。
人によって程度は異なりますが、プロスタグランジンは子宮の血管の収縮や子宮筋の虚血(きょけつ:血が行き渡らず、局所的に貧血になること)を引き起こします。それによって、下腹部に痛みを感じます。
生理痛をやわらげる5つの方法
①基本は鎮痛剤(痛み止めの薬)の服用
生理痛をやわらげる方法として、基本は「鎮痛剤の服用」です。
鎮痛剤は、駅前にあるマツキヨやココカラファインのようなドラッグストア、Amazonや楽天のようなECサイトで購入できます。
鎮痛剤の正しい服用タイミングや購入時のチェックポイントは「生理痛対策の鎮痛剤について」を参考にしてください。
②鎮痛剤が効かないときは漢方やツボ
市販の鎮痛剤があまり効かないという方は、漢方を試してみても良いでしょう。ドラッグストアでも販売していますが、しっかりと説明を聞きたい方は漢方薬局に相談してみてください。
また、生理痛の緩和に効果のあるツボを押すという方法もあります。興味のある方は、漢方薬局や鍼灸院などに相談してみましょう。
③運動やストレッチで血流改善も大切
生理痛を和らげるために、適度な運動やストレッチも効果的です。
生理痛は血流低下による虚血(きょけつ)によって引き起こされるため、適度な運動やストレッチによって血流を改善することで生理痛の緩和が見込まれます。ストレッチは腰回りや足の付け根あたりを意識して行うと良いでしょう。
④体を温める食事で冷え対策
また、身体が冷えると血流は悪くなるため、体が温まるような食事を心がけましょう。例えば、生姜の入った温かいスープやカフェインを含まないハーブティーなどです。
一方で、カフェインは血管を収縮させる作用があるため、多量の摂取は控えるようにしてください。
⑤ブランケットやカイロで冷え対策
冷え対策として、椅子に座っているときは腰回りにブランケットを掛けたり、カイロを貼って温めたりすると痛みが緩和する方もいるかもしれません。
生理痛対策の鎮痛剤について
生理痛の鎮痛剤は飲むタイミングが大切
鎮痛剤を服用するときに大切なのは、「痛くなる前」または「痛くなったらすぐ」に鎮痛剤を飲むことです。
生理痛が起こりはじめ「もう耐えられない…」となったときに服用している方がいるかもしれませんが、実はその段階では鎮痛剤を服用しても効果があまり得られません。
鎮痛剤には、生理痛の痛みの原因である「プロスタグランジン」が増えるのをおさえる働きがあります。ですから、プロスタグランジンが増えて痛みを感じてからではなく、プロスタグランジンが増える前に鎮痛剤を飲んでおくことが大切です。
服用可能な年齢をチェックすること
生理痛対策の基本でもある「鎮痛剤」を購入するときの注意点は、服用可能な年齢をチェックすることです。服用可能年齢が15才以上の鎮痛剤と、15才未満でも服用ができるものと二種類あるので、チェックしましょう。
その他、眠くなる成分が入っていない、胃にやさしいなど、鎮痛剤によって特徴があります。ドラッグストアやECサイトでは、それぞれの特徴をチェックしてから購入しましょう。
以下では、眠くなる成分が入っていない鎮痛剤と、15才未満でも服用できる鎮痛剤の例をご紹介します。
眠くなりにくい「バファリンルナi」
【特徴】
・眠くなる成分を含んでいない
・小粒で飲みやすい
・服用できるのは15歳以上
小・中・高校生のための「バファリンルナJ」
【特徴】
・小、中、高校生でも服用できる
・眠くなる成分が入っていない
・水なしで飲める
ひどい生理痛は我慢せずに病院へ
ここまで、生理痛を和らげるセルフケアや鎮痛剤について紹介しました。しかし、それでは解決せず、生理痛で毎月のように苦しむ場合は我慢しないことが大切です。
ひどい生理痛は「月経困難症」
「腹痛がひどくて起き上がれず学校や会社に行けない」「1日に何度も鎮痛剤を飲まないと耐えられない」など、日常生活に支障が出るほどの「ひどい生理痛」であれば「月経困難症」と考えられます。
月経困難症には腹痛以外にも、腰痛や頭痛、全身の倦怠感、吐き気、食欲不振などの症状が含まれます。
子宮や卵巣に病気が隠れていることも
月経困難症は子宮内膜症をはじめとする、子宮や卵巣の病気が原因で起きていることもあります。ですから、生理痛がひどい場合は我慢せずに一度婦人科を受診することを勧めます。
婦人科で早めに診察を受け、自分に合った適切な月経困難症への対処法を提案してもらうことが大切です。
月経困難症については、こちらの記事「生理痛がひどい「月経困難症」。婦人科での診察と治療について」で紹介しています。心当たりのある方は、ぜひご覧ください。
以上、この記事では生理痛を和らげるためにできるセルフケアをご紹介しました。鎮痛剤は、痛くなる前に服用するようにしてくださいね。また、血流を良くするために適度な運動やストレッチ、そして体を冷やさないように気をつけましょう。