いつもより生理期間が短かったり、経血量が少なかったりすると「何か異常があるのでは?」と心配になりますよね。ホルモンバランスの乱れによる変化であれば大きな心配はありませんが、なかには病気が原因なこともあるため注意が必要です。この記事では、生理が短いときや、経血の量が少ないときに心配すべき目安や考えられる病気について解説します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
生理が短いときのチェックポイント
生理期間の長さは何日間?
生理期間(経血が出る期間)には個人差があります。
病気などがなく正常な場合、生理期間の目安は3日〜7日(平均的には5日)です(*1)。ホルモンバランスの変化が原因で、周期によっては生理期間が1~2日程度長くなったり短くなったりすることもありますが、その程度の変動であれば心配はいりません。
ただし、生理期間が2日以下の場合は少し注意が必要です。
生理が短いのは「過短月経」
生理が短い「過短月経」とは
正常な生理期間は3日〜7日(平均的には5日)と紹介しましたが、生理期間が2日以下のときは少し注意しましょう。
医学的な言葉では、生理期間が2日以下のことを「過短月経(かたんげっけい)」と呼び、月経異常とされる症状の一つです。
過短月経のとき、経血量が正常の範囲よりも少ない「過少月経(かしょうげっけい)」という症状もあわせて起こっていることが多いです。以下では、過少月経についても説明します。
生理の量が少ない「過少月経」
生理の量はどれぐらいが普通なの?
正常な生理の量(経血量)の目安は20ml〜140ml(平均的には50ml)です(*1)。「50ml」と言われてもピンと来ないかと思いますが、「ふつうの日」用のナプキンに血が広がっていて「そろそろ交換したいな」と思うタイミングの経血量がだいたい5ml~10ml程度です。
生理中はこまめにナプキンを替えられたりすることも考えると、1回の生理あたり十数枚ほどナプキンを使う人が多いかもしれません。
生理が少ない「過少月経」
生理期間中にでる経血量が20mlよりも少ないときは「過少月経(かしょうげっけい)」と呼びます。イメージとしては、生理が終わる直前の経血のような少量の出血しか起こらない状態です。
これも月経異常とされる症状の一つで、生理が短い「過短月経」とあわせてみられることが多い症状です。
生理が短い・生理の量が少ないときの原因
原因① 経口避妊薬やその他ホルモン剤の服用
経口避妊薬(ピル)を服用している場合、服用しないときに比べて子宮内膜は薄くなって生理の量は少なくなります。
医師の指示に従いながら経口避妊薬(ピル)を服用しているのであれば、生理の量が少なくても心配はいりません。その他のホルモン剤の服用についても同様です。
原因②排卵が起こっていない「無排卵周期症」
無排卵周期症とは、何らかの原因によって排卵が起こらない症状です。
排卵が起こっていないことを自覚することは難しいため、過短月経や過少月経をはじめとする月経異常、不正出血、そして、なかなか妊娠しない「不妊」などを理由に検査をして、そこではじめて無排卵周期症であることが判明することが多いです。
原因としては、ストレスや急激な体重減少、または多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせい らんそうしょうこうぐん)や高プロラクチン血症と呼ばれる疾患が考えられます。
原因③ 黄体機能不全
黄体機能不全とは生理(月経)のサイクルが正常に回るために必要な女性ホルモンである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の働きが十分でない症状です。
黄体機能不全は月経不順の原因になり、生理が短い過短月経や、経血量の少ない過少月経を引き起こすことがあります。
原因④子宮の奇形
生まれつき子宮の形に異常があることを「子宮奇形」と呼びます。一般的な女性の3.8~6.7%に見られる症状で、無症状なこともあります。子宮奇形にもいくつかのパターンがあり、なかには問題なく妊娠・出産ができるケースもあります。
ただし、流産や早産、また不妊の原因になることもあるため、過短月経・過少月経などの症状をきっかけに子宮奇形が見つかった場合には、適切に処置をすることが大切です。
原因⑤子宮内の組織同士が癒着する子宮腔癒着(アッシャーマン症候群)
診断や治療目的で子宮内膜掻爬(そうは)や子宮鏡手術を行ったことが原因で、子宮内の組織同士が癒着する子宮腔癒着(アッシャーマン症候群)が起こると、症状として過少月経が見られることがあります。
婦人科を受診する目安
「生理期間が2日以下」が3周期以上続く
ピルなどのホルモン剤を服用していないにも関わらず、生理期間が2日以下の周期が3回以上続いているのであれば注意したいところです。
20代から40代前半の年齢にも関わらず、過短月経や過少月経のような症状が見られる場合は婦人科を受診して問題がないか検査してみましょう。
原因②〜⑤で紹介したようなホルモン分泌の異常や、子宮などに問題があるかもしれません。
一方で、思春期や更年期は、女性ホルモンの分泌が安定しなかったり、変化が見られたりするため、過短月経や過少月経をはじめとする月経の異常が起こることは珍しくありません。
大きな心配はないことが多いですが、ときには病気が隠れていることもあるため、過短月経や過少月経の症状が続くようであれば、一度婦人科に相談しても良いでしょう。
婦人科での診療内容
婦人科での診療では、今までの生理周期や生理期間などの状況を確認するための問診、ホルモン数値をチェックするための採血、また、内診や超音波検査で子宮や卵巣に異常がないかの診察などを行います。
過去の生理周期や生理期間はちゃんと覚えていない人も多いかもしれませんが、問診ではなるべく正しく伝えるようにしましょう。
ちなみに生理管理アプリを使うと、過去の生理周期や生理期間をチェックできるので便利かもしれません。
例えば、無料で使える生理管理アプリのケアミーは、生理日を登録しておけば過去に生理が何日間続いていたのかもパッとみてチェックすることができます。
このように生理管理アプリに記録しておけば、婦人科に行くときも自分の生理について医師に説明できて安心です。
ケアミーは産婦人科医監修の安心できるアプリで、アプリ容量は軽く、また会員登録なしでも使いはじめられます。ぜひ一度、ダウンロードしてチェックしてみてください。
以上、この記事では生理が短い「過短月経」、また経血量が少ない「過少月経」について説明しました。心当たりがあり、3周期以上も繰り返すようであれば婦人科に一度相談してみましょう。