生理中にナプキンでデリケートゾーンがかぶれ、かゆくなることがあります。この記事では、そんな「ナプキンかぶれ」の原因や、かぶれを予防するためのデリケートゾーンケアの方法を紹介します。また、知っておきたい基礎知識として、かゆみが治らない場合に考えられる感染症についても解説します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
【1分解説】ナプキンかぶれの原因と対策
ナプキンに経血が長時間ついたままで過ごすと、デリケートゾーンがムレてしまい「かゆみ」を引き起こします。
また、ナプキンが肌にあわないと皮膚とこすれることで「痛み」を引き起こすこともあります。
ナプキンかぶれの対策としては、以下の4つがあります。
- ナプキンをこまめに交換する
- デリケートゾーン専用のウェットシートを使う
- コットン製のナプキンを試してみる
- タンポンをあわせて使う
生理中の「かぶれ」が気になる人は、まずは1~ 2時間おきにナプキンを交換するようにしてみましょう。
以下では、原因や対策、また症状がひどいときに考えられる腟(ちつ)の炎症などについて詳しく解説します。
生理中の「かぶれ」の原因
実はみんな悩んでいる「ナプキンかぶれ」
ナプキンによるデリケートゾーンのかぶれで悩む人は、実はたくさんいます。以下の円グラフは、Coyoliが調査した「ナプキンでかぶれたことがある人」の割合です。
経血による「ムレ」が原因
「ナプキンかぶれ」は、経血がついた状態のナプキンによってデリケートゾーンがムレることが原因です。学校の授業や仕事でトイレに行けず、ナプキンに経血がついた状態でしばらく過ごしていると、デリケートゾーンはムレてしまいます。
ムレると雑菌が繁殖しやすい
ムレた状態で過ごすと、雑菌も繁殖しやすくなります。雑菌の繁殖は「かゆみ」を引き起こす原因になるため、デリケートゾーンをムレないようにすること、清潔に保つように気をつけましょう。
ナプキンがこすれることも原因
ナプキンがこすれて肌に刺激を与えてしまうことも、デリケートゾーンがかぶれる原因として考えられます。ですから、自分の肌にあった生理用品を選ぶことも大切です。
「ナプキンかぶれ」を防ぐデリケートゾーンケア
対処法1)ナプキンをこまめに交換する
ナプキンに経血がついた状態で長時間放っておくとムレやすくなります。経血が出たら、なるべく小まめに交換しましょう。
対処法2)デリケートゾーン専用のウェットシートを使う
デリケートゾーンを清潔に保つことも大切です。外出先でナプキンを交換するときに、デリケートゾーン専用のウェットシートを使用するといつも清潔に保てます。
トイレの「ビデ機能」で経血を洗い流しても良いですが、外出先のトイレのビデを使うのは抵抗のある方もいるかもしれません。そんなときには、ウェットシートが役立ちます。
ウェットシートはいくつか種類がありますが、デリケートゾーンに使うものなので肌への影響が少なく、またトイレに流せるタイプが人気です。デザインや香りつきのものなどタイプも様々なので、好みや体質に合わせて選びましょう。
対処法3)コットン製のナプキンを試してみる
デリケートゾーンの肌が敏感な方は、ナプキンの素材を変えるとかぶれにくくなるかもしれません。コットン製のナプキンを試してみてもよいでしょう。
対処法4)タンポンをあわせて使う
タンポンはナプキンに比べ、ムレが軽減されます。長時間の使用はトキシックショック症候群(*1)のリスクもあるので気をつけなければいけませんが、ナプキンと組み合わせて使うことでムレの解消には効果的です。また、ムレだけなく臭い対策にも繋がります。
注意点として、タンポンはうっかり交換し忘れて、長時間そのまま放っておいてしまうことがあるので気をつけましょう。商品に添付されている説明書を読み、注意事項を守ってご使用ください。
今すぐ抑えたい「かゆみ」に対処する塗り薬
ドラッグストアで買える「かゆみ止め」
今すぐなんとかしたいというときは、市販のかゆみ止めの塗り薬を試しましょう。
デリケートゾーン用のかゆみ止めは駅前にあるマツキヨやココカラファインのようなドラッグストア、またはAmazonや楽天のようなECサイトで購入できます。
知名度が高い商品だと小林製薬の「フェミニーナ軟膏」でしょう。CMなどで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。デリケートゾーンのかぶれやかゆみに効く塗り薬です。
フェミニーナ軟膏
【特徴】
・デリケートゾーン用のかゆみ止め
・ベタつかないクリームタイプ
・15gサイズと30gサイズの2種類がある
フェミニーナジェル
【特徴】
・サラっと使えるパウダーinのジェルタイプ
・スースーするメントール類は不使用
・15gサイズのみ
このような塗り薬で改善しない場合や、かゆみがひどく病気の疑いがある場合は婦人科に相談するようにしてください。
かゆみが治らないときに考えられる炎症や感染症
デリケートゾーンのかゆみや痛みなどの症状がおさまらない場合は、免疫力の低下による性器の炎症や、感染症の可能性に注意しましょう。性器にかゆみを感じる炎症や感染症として、ここでは4つ紹介します。
①外陰腟(がいいんちつ)カンジダ症
【症状】性器にかゆみや腫れを感じる、おりものの増加や性質の変化(酒粕やヨーグルト状)
腟には、もともと「カンジダ」と呼ばれる菌が存在していて、それが免疫力の低下などによって繁殖することで起こる炎症を「外陰腟カンジダ症」と呼びます。稀に、性交によって感染することもあります。
症状としては、性器にかゆみを感じたり、赤く腫れたりします。また、おりものが白い酒粕(かす)やヨーグルトのような状態に変わり、量も増えたりします。
②腟トリコモナス症
【症状】性器にかゆみを感じる、悪臭のする泡状のおりもの(色が黄色や淡い灰色)
腟トリコモナス症は性交後5日〜1ヶ月程度で症状があらわれ、性器にかゆみを感じたり、悪臭があり泡状のおりものが出たりします。
性交渉以外の感染経路として、浴場や便器、内診台なども考えられます。ただし、現代の日本では衛生面も改善されているため、このような経路での感染は稀です。
③尖圭(せんけい)コンジローマ
【症状】性器にかゆみを感じる、性器や肛門周囲にイボができる
尖圭コンジローマは症状がでるまでに性交後3週〜8ヶ月程度(平均約3ヶ月)かかることがあり、自覚するまでに時間がかかることが特徴です。男女ともに、性器や肛門の周囲に先のとがったイボができます。また、かゆみを伴うこともあります。
④細菌性腟炎
【症状】性器にかゆみを感じる、おりものの増加や色の変化(灰色や白色)、悪臭。
細菌性腟炎は、腟内で細菌が繁殖することが原因で起こります。勉強や部活、仕事が忙しくて疲れが溜まったり、体調不良やストレスによって免疫力が低下したりすると、細菌の侵入や増殖を防ぐ働きが弱まって細菌が増殖するのです。
このように、デリケートゾーンのかゆみの原因は感染症なども考えられます。もし市販の塗り薬を塗っても治らない、我慢できないほどかゆい、または痛いなどの症状があれば、早めに婦人科に相談してください。
以上、ナプキンかぶれの原因や対処法、そして注意したい炎症や感染症について解説しました。かぶれに対しては、まずはご紹介したデリケートゾーンケアや、かゆみ止めの塗り薬をお試しください。それでも改善されない場合は、婦人科に相談してみましょう。