生理予定日でもないのに出血があると不安になりますよね。生理とは異なるタイミングで性器から出血することを「不正出血(不正性器出血)」と呼びます。不正出血の原因は、女性ホルモンの分泌によるものや、ストレス、または子宮などの病気の可能性もあります。この記事では、不正出血の原因や病院にいく目安について、解説します。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 月花瑶子
北里大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター、愛育病院での勤務を経て、現在は都内の不妊専門クリニックに勤務。産婦人科専門医の資格を持つ。臨床医として働きながら、生殖に関わるヘルスケアの知識を社会に広める啓蒙活動も行う。監修書籍「やさしく 正しい 妊活大事典」(プレジデント社)
不正出血の原因と病院に行く目安
不正出血の原因の種類は大きく2つ
生理と異なるタイミングで性器から出血することを「不正出血(不正性器出血)」といいます。不正出血は大きく以下の2種類に分けられます。
1)機能性出血:ホルモンの分泌が原因の出血
2)器質性出血:子宮や腟の器質的な疾患が原因の出血
どちらの原因かは自分では判断できない
気になるのは「私の不正出血は、いったいどっちなの?」ということですよね。
残念ながら、ホルモンの分泌が原因の「機能性出血」なのか、子宮や腟の器質的な疾患が原因の「器質性出血」なのかを自分で判断することは難しいです。
不正出血の「病院に行く目安」
機能性出血の場合は大きな心配はいらないことも多いですが、不正出血が以下のような状態であれば婦人科で診てもらいましょう。
・不正出血が2〜3周期続く
・1週間以上も出血する
・出血の量が生理よりも多い
このような症状がみられる場合は、何か異常があると考えられます。
以下では、不正出血が起こる原因について詳しく解説します。
ホルモンの分泌が原因で起こる不正出血
ホルモンの分泌が原因の「機能性出血」
ホルモンの分泌が原因で起こる不正出血「機能性出血」には、生理現象として起こる無害なケースと、ホルモンバランスの乱れから起こるケースがあります。
排卵日付近に起こりがちな「中間期出血」
排卵日前後(排卵期)は、上の図のように2つのホルモンのバランスが急に変化します。この影響で子宮内膜が剥がれ、排卵日前後の2〜3日に渡って血として流れ落ちることがあります。
これは不正出血の中でも「中間期出血」(または「排卵期出血」)と呼ばれる生理現象で、病気ではありません。
ストレスやダイエットが原因の不正出血
また、排卵日前後ではないのに不正出血が起こる場合に考えられる原因としては、ストレスや急激なダイエットなどによるホルモンバランスの乱れが挙げられます。
思春期や更年期にも起こりがち
また、思春期や更年期など、ホルモンバランスに変化が見られる時期に不正出血が起こることもあります。
このように、不正出血のなかでも機能性出血は、ホルモンバランスの変化が理由で起こるものです。中間期出血(排卵期出血)のような生理現象として起こる無害なケース、そして私生活やライフステージの変化によるホルモバランスの乱れが理由で起こるケースがあるのです。
病気が原因で起こる不正出血
子宮や腟の器質的疾患が原因で起こる器質性出血
器質性出血は、子宮や腟の器質的疾患が原因で出血が起こる不正出血のことです。考えられる疾患としては以下が挙げられます。
・子宮内膜ポリープ
・子宮頸管ポリープ
・子宮筋腫(特に子宮粘膜下)
・子宮頸部びらん
・子宮腺筋症
・腟炎
また、下記についても頻度は低いですが、注意したい疾患です。
・子宮頸がん
・子宮体がん
器質性出血と診断された場合
診断後、経過観察になることもありますが、繰り返し不正出血があり、貧血などを引き起こす原因になる場合には、簡単な処置や手術(ポリープや筋腫の切除)を行うこともあります。
器質性出血の場合は、放置すると不妊につながる疾患であったり、稀ですが悪性疾患の初期症状の場合もあったりするので注意が必要です。
不正出血は放っておかずに婦人科に相談を
心配なときは放置しないことが大切
ここまで、不正出血の種類と原因を解説しました。不正出血は、ホルモンの分泌が原因の出血である機能性出血と、病気が原因の出血である器質性出血に分類されます。
不正出血が2〜3周期続いたり、1週間以上も出血したり、出血の量が生理よりも多い場合は、何か異常があると考えられます。
心配な症状がみられる場合は、決して放置せずに婦人科に相談することをおすすめします。